第4回百合文芸小説コンテスト(未完)に取り組んだこと
さて、今年も応募を目指して新作に取り組んでいたのですが、いくつかの事情と悪い条件が重なってしまって結局応募に至りませんでした。今回の敗因をふりかえり、反省点をまとめようと思います。
1. 取りかかりが遅かった
最大の原因はここで、しかも年々悪化している自覚があります。
今回のコンテストは応募開始が昨年11月29日であり、告知後から書き始めても3ヶ月以上の執筆期間がありました。そもそも、毎年同じ時期にこのコンテストが開催されていることを踏まえれば、この先の1年はまるまる次の応募に使えるわけです。大学受験や卒論みたいなものですね!
第3回ではなんとか応募までこぎ着けたものの、結局は締め切り3日前くらいから取り組んだ作品でしたし、第1回は今回と同様に道半ばで力尽きてしまった回です(第2回は就活や修論や引っ越しで忙しくパスしました)。今回に至っては、2ヶ月ほど温めていたアイデアを締め切り2日前に捨ててしまう暴挙の末の悲劇でした。
局所的には、締切1週間前に3回目のワクチン接種を受けてしばらく体調を崩していたという事情はあれど、3ヶ月、そして1年間というスパンを意識していれば、誤差のようなものだったでしょう。
いわゆる締め切り駆動執筆は効率が悪いですし、何より持続性がありません。具体的な対策が必要ですが、対策の考案にも締め切りがないのです!
2. ストーリー偏重の癖が出た
時間的に急いでいたり、省エネで作品を書こうとしたときによく出る癖です。キャラクター軽視、と言ってもいいのかもしれません。
例えば、このニュースレターのコーナー「アマネイメージズ」のようなシーンやモチーフが先に用意されている場合や、時間的余裕がない状態でストーリーラインのみ定めた場合に、キャラクターの掘り下げが不十分なままお話を書き始めてしまうことがあります。名付けるなら、シーン駆動執筆とでもいいましょうか。キャラクターについて深く考えないまま書き始めるという点で、時間を節約した省エネな書き方です。
当然、使うエネルギーに見合ったごく短い掌編などであれば問題ないでしょう。強力なキャラクターを描写する余地がなかったり、読者の想像力に任せるべき範囲が広くなりがちだからです。
問題は、長々と舞台設定や背景説明をしてストーリーを組み立てたはいいものの、書いているうちにどうもキャラクターに魅力がないと感じてしまうケースです。世界観やストーリーはなんとなく面白そうだけど、書いてみるとつまらない。あるいは、冒頭はよく書けていても後半の描写がどうも味気ない。このような状況に陥るのは、執筆にかけたエネルギーが作品に見合っていないのが原因だと考えています。
極端に言えば、省エネな執筆とは、事前に定めた各シーンにだけ専念すること、そしてキャラクターを描写する不要な寄り道を削ることです。その結果として、ストーリーラインは達成しているのになぜか味気なくてつまらない作品ができあがります。
3. 慣れないジャンルやシーンだった
今回はここも大きな障害でした。締め切り2日前に「面白そうだから」と組み立てたストーリーラインは、ある建物を制圧するまでの過程を描いたアクション+SFのような作品です。当然ながら、複雑な作戦や戦闘の描写が多くなってしまいます。これは無謀な挑戦でした。なぜなら、僕自身はそのような一瞬の動きと緊迫した空気を作品に取り入れて描写した経験が少ないからです。
長期的には、このようなシーンの描写を訓練して慣れるか、このような作品を描かないよう避けるか選ぶことができます。しかし、今回のように取りかかりが遅くてあまり多くのエネルギーをかけられない状況では、冷静に考えて撤退するしかありませんでした。
こうして3つの悪い癖や選択ミスが重なり、今回は応募を諦めることになりました。次はもうすこしがんばりましょう。