あまねけ!ニュースレター #26

April 05, 2022

こんにちは、あまねです。

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人間と科学

ProtonMailで新しいドメインが利用可能になったこと

先日、ProtonMailを起動したところ、新しいドメインパート proton.me でのメールアドレスが利用可能になった旨を通知されました。現時点ではベータ版の機能だそうです(Redditに投稿があります)。

利用できるドメインの数々
利用できるドメインの数々

ProtonMailでは、デフォルトで protonmail.com のメールアドレスを使えます。もちろん、このメールアドレスでも周囲にセキュリティ意識を示すのには十分です。しかし、ちょっとした手順を踏むことでさらに pm.me のメールアドレスを有効化できます(念のため新しい無料アカウントで確認してみましたが、すぐに利用できました)。

pm.me は、公式サイトに

We like to think of pm.me as short for “ProtonMail me” or “private message me”.

とあるとおり、ProtonMailや同じ頭文字を取る「Private Message」を表現する短いドメインです。

デフォルトの protonmail.com というドメインは、ProtonMailというサービス名をアピールするには完璧ですが、 gmail.com とか icloud.com と比較するとやぼったい印象があります( docomo.ne.jp でやっと並ぶくらい)。そのため、 pm.me という短くてキャッチーなドメインを利用できるようにしたのでしょう。

そんな中で、 proton.me というドメインパートが利用できるようになりました。 pm.me は短さ全振りで分かりやすさを犠牲にしていましたが、 proton.me なら簡潔さを保ちつつ、ProtonMailというサービス名をイメージするにも十分なバランスです。

#18でもお知らせした自己紹介ページのドメイン amane.im は、「I am」「instant messenger」「imaginary」などの意味を含む かわいい ドメインです。しかも、Catch-all設定をしているので任意のアドレスにメールを送ることができます。

おまけ: いつの間にかFromとToが「開始日」と「終了日」にローカライズされててクスッとなりました。

開始日から終了日におとどけ
開始日から終了日におとどけ

補助輪付きの無人販売所のこと

#11で、僕が所属している変態美少女ふぃろそふぃ。の中長期的な目標である、同人誌即売会における無人販売所の概念についてお話ししました。

同人誌即売会における無人販売所とは、誰かを直接ブースに配置することなく、グッズや同人誌などの作品を販売するスキームを意味しています。必ずしも田舎の無人野菜直売所のようにあらゆる良心を仮定しなくてもよいですし、自動販売機のように高度な業務をこなす機械を導入しなければならないわけでもありません。

無人販売所は、多くの前提や条件でどのように実現できるかが決まります。このような懸念要素には、大きく分けて「来場者」「支払い方法」「作品の種類」があるでしょう。

来場者について考慮すべきなのは、その良心の程度です。全ての来場者(購入者以外も)が不正に作品を持ち出したり、ブースの売上金を盗むことがないと仮定できれば、単に作品を並べて貯金箱を置くだけで無人販売所が完成します。しかし、これは非常に強い仮定で現実的ではありません。少なくとも、売上金については堅牢な構造で保護する必要があるはずです。

支払い方法については、特に現金を使用するかどうかによって実現方法が変わります。電子マネーや仮想通貨で支払ってもらう場合は、単にアドレスを記したURLやQRコードを置いておくだけでかまいません。しかし、現金を使用したいなら、前述の通りワイヤーつきの堅牢な箱などを用いて売上金を保護する必要があるのはもちろん、通用力のある意図した貨幣のみを受け付けるような機構が必要でしょう。

もちろん、さらに 悪い 来場者を仮定するなら、自動販売機のように正しい金額を支払うことを強制するシステムを導入すべきです。

作品の種類については、グッズや印刷版の同人誌を含むかどうか――より正確には、ブースに配置するもの自体に直接価値があるかどうか――で分類できます。キーホルダーやポストカードなどのグッズや印刷版の同人誌は、それらを不正に持ち去っても価値が変わりません(単にQRコードで同人誌のPDFファイルを直接利用可能にしているものも同様です)。

一方、ブースから持ち去ってもそのままでは価値のないものなら、不正に持ち去るモチベーションも持ち去られたことによる損害も最小限に抑えられます。ここでいう「そのままでは価値のないもの」は、例えば作品を購入できる非公開ページのURLを記載したQRコードなど、対価を支払うことで初めて有効になるようなトークンを指しています。

また、作品がポストカードや名刺など軽くて薄いものの場合は、自動販売機の実現が楽になるかもしれません。比較的厚みのある印刷版の同人誌なら、鍵つきの引き出しを設置して、カプセルトイのような機械で鍵を販売することもできるでしょう。

さて、ここまで無人販売所の実現可能性について考察しましたが、おおまかには来場者の良心に期待するか、自動販売機を導入するかのいずれかです。しかし、見知らぬ来場者全員を信頼するのは難しいですし、自動販売機の導入には大きなコストがかかります。

そのため、第三十四回文学フリマ東京では、2ブースを半分に分割した監視付きの無人販売所を計画しています。つまり、一方のブースは無人販売所のように仕上げつつ、無人では実現の難しい部分をもう一方のブースでカバーするという形式です。こうすることで、本来は来場者への信頼が必要な手法を安全に試すことができます。

これはいわば、補助輪の付いた無人販売所といえるでしょう。より詳しいことは、次週以降のニュースレターでお話しするかもしれません。

アマネイメージズ

海を渡って
海を渡って

「私、海を渡るのってはじめて」

「うん、私も。ここよりずっと広くて綺麗だよ……きっと」

やっと、辿り着いた。海だ! 教科書の小さな写真でしか見たことのない、広くて大きな水の塊。夢の中で何度も指先でなぞった、ぷにぷにでつやつやした不思議な凹凸。この抜け道を見つけるまでは、この灰色の壁の向こうに世界が広がっていることさえ想像できなかった。でも、ここから逃げれば、きっと。

学校 から逃げた私たちは、外の世界にさらに高く広がるコンクリートの壁に圧倒されながら足を進めていた。食料コンテナに隠れて通用門――私たちが外との境界だと思っていた――を抜け出してから一晩が経つ。この壁の中にはもう、私たちを追う看守の他には誰もいないだろう。数十年前にはかつて普通の生活が広がっていたはずの街並みは、ほとんどが強い風雨や頑健な植物に呑まれ、あるいは虫さえ寄りつかないひどい烱能汚染にさらされていた。

あんな実験が今も旧校舎の地下で進められているとしたら、次の実験台になるのは脱走を企てた私たちに決まっている。だから、絶対にここから逃げなくちゃいけない。

「緊張してるの?」

「ヨウちゃんだって、手が震えてる」

「ふふっ。実は、滑って転んでしまわないか、ちょっと心配なの」

そっと手を重ねた私たちは、どちらともなく前に向かって歩き出す。海を踏みしめた感触はどんなだろう。寝転んだら冷たくて気持ちいいのかな。

少しずつ目の前に海が近づいて、きらきらとした光が徐々に私たちの目を覆っていくのが分かった。


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