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あまねけ!ニュースレター #16

あまねけ!ニュースレター #16
By Amane Katagiri • Issue #16 • View online
こんにちは、あまねです。
感想や興味のあるトピックについて、ぜひコメントしてください。

人間と科学
WALとGlacier Deep Archive
前回、#15筑波大学の生涯メールアドレスに付属する容量無制限のストレージ(無限ドライブ)のサービス縮小についてお伝えしました。今回は、その後いくつかのバックアップデータをAmazon S3に移したのでちょっと紹介します。
大学生の頃から自宅にHPの小さなサーバを設置していて、今もその上でいくつかのサービスが動いています。現在広く公開されているサービスの代表例はMatrixのホームサーバで、過去にはPleromaPlumeのインスタンスを公開していたこともあります。Fediverseのインスタンスを自前の資源で提供することは、単なる金銭的・時間的なコストの節約や振り替えのためだけではなく、Fediverseの理念に照らして非常に重要な意味を持つものです。
さて、自宅サーバ上のデータはZFS(RAID-Z)上である程度冗長化されていますが、同時に複数台が故障すれば流石に耐えられません(過去、HDD1台の故障から交換・復旧した経験はあります)。そのため、これまでは重要なデータの一部を暗号化して無限ドライブにバックアップしていました。しかし、サービス縮小にあたってこのまま置いておくのが難しい大きなデータ群がいくつか出てきたというわけです。
このサーバでバックアップしたいデータは、以下のような性質を持っています。
  1. 一定期間ごとに継続的に書き込まれる
  2. 一度書き込まれたデータは頻繁に更新されない
  3. 一度書き込まれたデータは頻繁に参照されない
  4. 長期にわたって保持する必要がある
現時点で、データの総量は700GB程度です。無限ドライブと同じ使い勝手がよければ、Google DriveやDropboxなどの個人向けクラウドストレージに置くこともできますが、1200円/TB/月程度となかなか手痛い維持費が発生してしまいます。普段遣いしているSyncにはまだ1TB以上の余裕がありますが、セキュリティを強く重視したサービスなので、サーバにAPIクライアントをインストールしたり、自動的にバックアップする用途には向いていません。
ここまでに挙げたクラウドストレージは、いずれも頻繁に参照・更新されることを前提としており、ある程度迅速な参照・更新への保証が料金に含まれていると考えるのが自然です。オブジェクトストレージサービスのWasabiは650円/TB/月程度で、頻繁に更新しない場合はこれらに比べて安価ですが、APIアクセスやデータ転送に従量課金しないことを大きな特徴として挙げており、まだ頻繁に参照されないという性質を活かしきれません。
そこで、Amazon S3 Glacier Deep Archiveを採用することにしました。ストレージ自体は110円/TB/月程度の低価格で利用できますが、取り出しには開始まで12~24時間かかり、取り出す容量に応じてさらに10000円/TB程度の料金がかかるため、一般的なクラウドストレージとはかなり性質が異なります。また、最低でも180日はデータを保持しなければならないという最小ストレージ期間が定められており、同じデータが頻繁に更新されるような使い方には向いていません。いくつか落とし穴はありますが、今回の目的には合っています。
バックアップ移行が落ち着いた頃のストレージ利用量
バックアップ移行が落ち着いた頃のストレージ利用量
バックアップ計画の更新に伴って、データベースのバックアップをオブジェクトストレージに適した構成にするために、WALアーカイブを有効にしました。幸い、バックアップが必要なシステムのデータベースは全てPostgreSQLで構築されており、ディレクトリの整備と設定ファイルの微調整のみで対応を終えることができました。今のところ、週次のベースバックアップと必要なWALアーカイブについて、180日で削除するライフサイクルルールでバックアップしています。
ここまで頑張ってデータや記録を保存しようとする理由を説明するのは難しいですが、少なくとも自分以外も使う可能性があるサービスでは、不注意や準備不足で突然データが消えるような事態は避けたいものですね。
感想のこと
先日、ソナーズのリリースによせて、感想のことという記事を書きました。
概要としては、文単位の「いいね」機能と感想を強制する機能の2つを大きな特徴として掲げる「ぶっちぎりで感想がもらえる小説サイト」ことソナーズについて紹介し、感想についてメタに分析した上でソナーズに不足している視点について述べるものです。
かたぎりあまね🙃
ぶっちぎりで感想がもらえる小説サイトことソナーズ、どういう仕組みなのかと思ったら読んだ作品の感想を書かないと次の作品を読めない仕組みらしくてスパルタって感じだ
ソナーズは感想という概念についてある程度考慮して作られたサービスですが、「感想を書かせる」ことに重きを置いているため、どうしても既存のサービスより読者に負担を強いる傾向が強くなります。そのため、既存の小説投稿サービスを代替したり、広く使われるようになるのは難しいでしょう(公式もそのような認識です)。
ラブホパネルとレーダーチャートでは、お金と感想(感情・時間)の観点から創作の意味について述べています。BOOTHやDLsiteがお金を払って作品を読むサービスだとすれば、ソナーズは感想(感情・時間)を払って作品を読むサービスだといえます。そのため、無料で読める小説投稿サービスではなく、お金を払って作品を読むダウンロード販売サービスの代替になる可能性は残されています。
ただし、お金と感想はその性質の差から完全に置き換えられるものではありません。お金は 払わせる こと自体に意味があり、払わせてもその量や質が変質することはありませんが、感想は必ずしもそうではないからです。つまり、 書かされた 感想と、 自発的に書いた 感想では受け取る価値や意味が変わってしまう場合があります。
そのため、感想を払って作品を読むサービスを流行させるには、どれだけ自発的に感想を書いたかのように演出できるかが重要です。(作者に向けた)感想は創作を通した人間同士のコミュニケーションであり、適切なマッチングが行えるよう設計する必要があります。さもなくば、どうにか 自発的な 感想を受け取りたい人たちは、これからも天に向かって雨乞いのような儀式を繰り返すことになるでしょう。
アマネイメージズ
今回はありません。
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Amane Katagiri

ライフ 人間と科学シリーズ

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