打ち消し表示のこと
ポスター広告やCMでは、しばしば大きなキャッチコピーの横に小さく「※」マークが書かれているのを見かけます。さらにその下に、さらに小さな文字で「※個人の感想です」とか「※個人差があります」などと書かれている場合、それは
打ち消し表示です。
打ち消し表示とは、より効果の高い広告を実現するために強い言葉や表現(強調表示)を使いたいものの、それが景品表示法で禁止されている不当な広告(有利誤認)とならないよう、例外や制約などについて記載するものです。
その定義上、打ち消し表示は強調表示の効果を下げるものであり、広告を出す側はできるだけギリギリ小さく見にくい配置を目指すのが合理的です。そのため、消費者が十分に視認できない不親切な打ち消し表示について、しばしば問題になっています。
また、薬機法でも景品表示法と同様に医薬品ではない商品が医薬品的な効能効果を広告することを禁じています。具体的な効果を挙げることはできませんから、なんとなく健康で明るい表現や、あいまいな言葉でアピールするしかありません。
先日、いろいろな情勢で明治の宅配商品サンプルを受け取る機会があり、商品のキャッチコピーと打ち消し表示の組み合わせがなかなか面白かったので紹介します。
※「強さ」とは健やかな生活を送りたいという前向きな想いを表しています。
とか、
「強さひきだす乳酸菌」というフレーズは、ヨーグルトという食品を通してお客様にお届けし、健やかな生活に貢献したい、という想いを表現しています。
と表記されています。「強さ」は実際に免疫を高めるという意味ではない、ということでしょう。とはいえ、商品に含まれている乳酸菌の評価としての表現が、メーカーや消費者の気持ちを表しているというのはなかなか苦しいこじつけです。
※胃で働く乳酸菌とは、“胃で生き残る力が強く、胃での増殖性が高い”という特徴を「働く」と表現しております。
と表記されています。なんだかちょっと壊れてて癖になる日本語ですね。こちらはR-1と違って乳酸菌に対する評価は保っているものの、増殖によって得られる効果(有無・善し悪し)は完全に無視しています。つまり、この打ち消し表示の範囲では「胃で働くピロリ菌」という表現もありえるわけです。