こんにちは、あまねです。
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人間と科学
Irigasaki 4 seasons
僕が初めて迱里ヶ崎を訪れたのは、修士課程1年目の夏のことでした。その年は普段よりも梅雨明けがずっと早くて、空がぐっと青かったことを覚えています。広い海に面した小さな町では漁業が盛んで、その豊富な水産資源はとある研究所の調査対象にもなっているほどです。
迱里ヶ崎は根強い人気を誇る保養地であり、特に神巻地域は歴史のある別荘地としてもよく知られています。僕は春と夏の迱里ヶ崎にしか行ったことがありませんが、秋や冬はまた別の顔を見せるらしいです。僕が迱里ヶ崎で撮った写真は海辺のものばかりですが、下城市を山の方に回ると紅葉や滝が非常に美しい温泉郷に出会うことができます。
5月の文フリで頒布したお手紙は、ここ迱里ヶ崎から差し出された郵便物をとあるルートから入手したものです。もう相園さんの肉筆はご覧になりましたか? 少々趣味の悪い取り組みではありますが、あなたにもきっと楽しんでいただけると思います。
迱里ヶ崎は、特急列車とバスを乗り継いで2時間以上――あるいは、それよりもずっと近い場所にあります。どこにでもあるような自然と、どこにもないような景色がいつでもそこに広がっています。あなたも、次の休日は迱里ヶ崎に行ってみませんか?
スマートコントラクトで射精管理
スマートコントラクトで射精管理という記事を書きました。タイトルは大げさですが、内容としてはSolidityで一定期間何かをロックする契約を表現するという比較的抽象的な実装に留まっており、実際にデバイスと接続して施錠・解錠を行ったわけではありません。同様のスキームは、例えば民泊サービスなどにも応用できます。
射精管理(特に貞操具による)は、そもそも(南京錠の)鍵という小さなトークンを通じて射精器官 → 肉体、そして最終的に精神という大きな存在を掌握するためのメソッドです。そのため、物理的な鍵をEOAの電子的な秘密鍵に置き換えるのは、非常に自然でエレガントな発想といえます。
QIUI系の遠隔管理に特化した貞操具は、近未来とサイバーな雰囲気がなかなか魅力的ですが、これだけで劇的に機密性を向上させるのは難しいです。また、単純な構造の貞操具と比べて根本的に可用性が低く、今のところ おもちゃ の域を出るものではありません。基本的には物理鍵を格納するデバイスを高度化すべきで、スマートコントラクトとの接続はその実装の一つです。
ツイッター
今回はありません。
アマネイメージズ
「まだ降りるんですか、先輩……」
特別区に向かうプラットホームへの階段を450段あたり――高さにしてまだ100メートルほどだろう――降りたあたりで、クロが私の手を引いて立ち止まる。こうなることは分かっていたけど、彼女を一人でラボに置いてくるにはあの場所はあまりに不安定だった。
「でも、ヨンちゃんがいないと、私たちの実験も進められないからさ。ね?」
「それは、分かってますけど……」
この先にある第三レストより下層は、断続的に通路が崩落していてどうせ先には進めない。三人で何度も抜け道を探したけど見つからなかったし、仮に降りられたとしても特別区まで辿り着くのは無理だろう。センターからの通信はとっくの昔に途絶えていたから。
「扇沢先輩は勝手すぎます。こんな危険な場所なのに、どうして一人でどこかに行ってしまうんですか」
「退屈なんだよ。私たちと違って、ラボではあんまり仕事がないし。それに、あの子は――」
「――あの子って言うのやめてください。私だけ仲間外れみたいで、嫌です」
「えーと……うん、ごめん」
ただの言いがかりにも聞こえるけれど、思い返してみると確かにクロはいい顔はしていなかったかもしれない、と思う。押し黙ったまま私に、クロは「ごめんなさい」と小さく謝ったけれど、それでも内に渦巻いた黒い不満は止められないらしく、さらに言葉を続ける。
「私、この階段が嫌いです。初めて来た日の浮かれっぷりを思い出して、死にたくなります」
まるで自分に言い聞かせるようにそう呟くと、クロはゆっくりその場にしゃがみ込んでしまった。
私たちはもう限界だった。ラボには十分な計算資源と食料生産プラントが残っていて、手探りでも毎日少しずつ解決に向かっているはずなのに――いや、むしろ肉体的な健康が永遠にこの生活が続くことを暗示しているようで、日に日に精神的な状況は悪くなっていた。
「どうして三人で行こうなんて言ったんですか。扇沢先輩なんて、ラボではたまにクオーツに手をかざすだけで、貴重なフィル・ポテトを好きなだけ食べちゃうし、先輩のこと悪く言うし……」
「クロ、待って」
「あなたはただの鍵なんだって、もっと大人しくしてろって先輩から言えばいいんじゃないですか? そうしたら、もっとシミュレーションの成功確率だって――」
パシッ、と打ちっぱなしのコンクリートに乾いた音が響く。はっと我に返ると、目を見開いたままのクロが、続く言葉を押し殺すように小さくうめき声を上げながら泣いていた。