あまねけ!ニュースレター #6

October 26, 2021

こんにちは、あまねです。

感想や興味のあるトピックについて、ぜひコメントしてください。

人間と科学

infarm

infarmはドイツ発の次世代型屋内垂直農法を提供する企業です。最新のIoTと機械学習とクラウドと――で効率的なスマート農業システムを実現しています(プレスリリース)。先日某所のスーパーに立ち寄ったところ、野菜コーナーの一角でこの野菜工場が展開されているのを見かけました。幅は商品棚より少し大きく2メートルくらい、奥行きは1メートルほどあります。

infarm(外観)
infarm(外観)

ここで売っていたのはイタリアンバジルとわさびルッコラで、今のところはハーブや薬味を中心に生産されているようです。小さなポットに土を詰めて育てているところを見ると、たくさん根を張って大きく育ったり、根自体を食べる野菜を作るのはまだ難しいのでしょう。

infarm(内部)
infarm(内部)

都市型の自給自足農法といえば、東京ガンボの宇宙植物屋上農園を思い出します。infarmはさらに太陽や水やりさえもコンテナの中に閉じ込め、自律的なシステムとして消費地に送り出しました。サステナブル……なのかはよく分かりませんが、SF小ネタとしてはかなり嬉しいですね。プラントボールと組み合わせたりすると楽しくなりそうです。

フローチャートボード (2)

第三十三回文学フリマ東京の配置が決定しました。僕が所属している変態美少女ふぃろそふぃ。は今回ジャンルを「評論・研究|サブカルチャー」に移し、チ-36で諸々を行う予定となっています。なかなか楽しそうなサークルに囲まれているので、ホンワカした百合島から来た謎のサークルが受け入れてもらえるか心配です。

チ-36
チ-36

私たちは「自由文化作品の定義」に賛同し、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスやCC0の下で様々な作品を頒布しています。百合、ポリアモリ、団地、結婚観、SF、脱異性愛規範、廃墟、キラキラ、砂浜、人生、こうかんノート、レズ風俗、萌妹子、宝石、ライブチャット、高度な保護機能プログラム、今すぐダウンロード
サークル紹介

さて、先日#4でフローチャートボードについてお話ししました。今回は具体的な構造やフローチャートの内容の一部を紹介します。

フローチャートボード(3つ折り/中央からスタート/など)
フローチャートボード(3つ折り/中央からスタート/など)

前回からの大きな変化として、隣のサークルに圧迫感を与えないようにおおよそ1/3の位置でボードを折り込んでいます。副次的な効果として、ブース外から見える面積を増やして多くの見本誌を置くことができるようになりました。ただし、ブース内から見て左側の机半分を割り当てられていることが分かっているので、必ずしも左右対称にする必要はないかもしれません。さらに かわいらしさ の演出に役立つことをいくつか計画しています。

フローチャートの設問は全て「百合」に関わるもので、答えによっておすすめ作品(既刊)が変化するように設計されています。

  • 「百合」は2人のキャラクターでしか成立しない関係だと思いますか?
  • 「百合」は死や死の示唆と相性がいいと思いますか?
  • 「百合」は終末モノとして実装するのに適していると思いますか?

ボードのデザインについては鋭意進行中です! 楽しくフローチャートを辿れるデザインと通行者の目を引く かわいい 装飾を目指しています。

ツイッター

紙で発行する/しないこと、価格設定

同人活動はしばしば副業めいた経済活動の一種として捉えられ、好きなことで楽に大儲け!できる裏ワザとして持て囃される場面もあります。しかし、同人活動で十分な儲けを出している、あるいは十分な儲けを出すことを主目的に活動している同人サークルは実際にはあまり多くありません。また、主に二次創作同人誌を販売する層では、あくまで非営利なので儲けは少ないという不文律(建前・美徳)が醸成されていることもあります。

それでも、あらゆる同人活動に経費がかかることは否定できません。特にグッズや印刷版の同人誌などでは材料費・印刷費がかさみますし、特定のシーンを描くための資料の購入費や取材費だけではなく、制作にかかった時間さえ経費に換算することができます。この場合、発行者が 損をしない ようにするには、どれほどの価格で販売すればいいのでしょうか?

このような問いにひとつの答えを与えるのが、 経費負担説 ――その発行物全体にかかったコストをわずかに上回る価格設定――でした。例えば、1冊あたり印刷に850円かかった場合は、切り上げて1冊900円または1000円で販売することができます。

ほかにも、様々な基準で価格を設定することができます。例えば、当該即売会やジャンルで広く使われている価格設定に倣う 不文律説 (バーチャルカルテル)では、30~40ページ程度のカラー表紙同人誌が500円で、10~20ページ程度のコピー本が100円で売られることが多いです。しかし、不文律説ではサークルの規模が小さくなるほど負担が大きくなり、時には赤字になるという問題を抱えています。

一般的な経済活動では、同じような商品が複数あれば安いものを購入する心理が働きます。つまり、価格設定が非常に重要です。このような状況では、周囲に比べて価格を低くしたり生産コストを低減することで、多くの売り上げと利益を見込むことができます。しかし、同人誌即売会は必ずしも価格設定が集客に影響を与える市場ではありません。不文律説を出し抜いて400円の同人誌を発行したとしても、直ちに売れるようになるわけではないのです。

もちろん、(現実にはありえませんが)2つのサークルから完全に全く同じ同人誌を発行した場合は、安い方が売れるでしょう。このように、複数の同人誌から価格のみに着目してどれを購入するか決められるなら、その同人誌群は互いに 代替可能性 があるといえます。同人活動というのは、究極的には代替可能性のない同人誌やグッズを制作するための取り組みであり、価格に支配されたフラットな市場から外れるための活動です(参考: 同人誌爆売れ最短マップ)。代替可能性がないのなら、価格設定は集客にあまり影響を与えません(来場者の予算によってある程度の上限はありますが)。

これは、同人誌を印刷版で発行すべきか、電子版で発行すべきかという議論にも新たな視点を与えます。もし、印刷版と電子版で与えられる体験が同じなら、それらは代替可能性があるので安い方(おそらく電子版)が売れやすくなるでしょう。実地の同人誌即売会で購入するか、通販で購入するかという比較においても、同様のスキームを用いることができます。

アマネイメージズ

南田中銀座四丁目
南田中銀座四丁目

桜と団地は昔からたいへん相性のいい取り合わせとしてよく知られていますが、その理由をご存じでしょうか? 一説では、桜も団地も均等で小さな構成要素が大量に、そして多層的に集まっているという共通点があるからだと言われています。「桜も団地もひとつの宇宙である」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

桜は小さな花びらが集まってひとつひとつの枝、大きな木、その集合としての並木を形成しています。小さな花びらを大量に保持しているおかげで、広大な並木の景色に動きを与えることができるのです。団地についても同様に、住戸が縦横に収容された住棟の集合としてその存在を定義できます。

もちろん、桜の花びらはただの四角や三角の紙吹雪ではなく、小さく切れ込みの入った緻密な構造によって独特の散り方を見せるものです。また、団地の住戸にはそれぞれの人生や生活が広がっており、それだけでひとつの物語を作ることさえできます。しかし、そういう詳細や実存をズームアウトして押し潰すことでしか楽しめない景色があるのも確かです。上空から撮影した都市の夜景や、海を挟んで撮影した工場の全景を眺めているとき、同じような感覚を得たことのある人も多いでしょう。


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